コラボレーションセンター活動レポート

岡山リサーチパーク・インキュベーションセンター』を見学しました!(H24.6.14)

 平成24年6月14日,中国経済連合会の山下会長ほか3名で,岡山リサーチパーク・インキュベーションセンター(ORIC)を見学させていただきました。当日は,谷口センター長からORICの概要についてご説明いただいた後,入居されているベンチャー企業3社(日本ステントテクノロジー,ビークル,アスコルバイオ研究所)の代表者の方から,それぞれ事業の概要についてご紹介いただきました。

<岡山リサーチパーク・インキュベーションセンター(ORIC)>

 岡山リサーチパーク・インキュベーションセンター(ORIC)は2003年4月に設立されたインキュベーション施設。「情報通信」および「ものづくり」の分野における新技術・新製品の開発,新規の創業を支援することにより,岡山県内の産業振興を図ることをミッションとして,入居者の支援・施設運営(※)を行っており,税理士・社会保険労務士等の顧問専門家が施設に常駐していることが特徴の一つとなっている。
(※)主な支援プログラム
    ・経営者の人脈形成の支援,コラボレーションの促進
      (ORIC交流会:1回/月,ORIC IT研究会:1回/3〜4ヶ月,経営者交流会:年1回程度)
    ・経営リテラシーの向上支援(ORICセミナー:1回/月程度)
    ・各種中小企業応援事業
      (販路支援,資金調達と資本政策,専門家紹介,人材紹介,卒業後の立地サポートなど)

 現在,31社のベンチャー企業(うち県外に本社がある企業は3社)が入居しており,入居率は約83%。分野別に見ると,「IT」「バイオ」「機械」「化学」がほぼ4分の1ずつ入居している状況である。これまでの9年間で96社が入居し,既に退去した65社のうち38社が事業として一定の成果をあげている。

<鞄本ステントテクノロジー>(代表取締役 山下 修蔵 氏)

 鞄本ステントテクノロジー(JSTEC)は,「医療経済性とQOLに優れた医療機器を岡山から発信し,社会に貢献する」ことを経営理念として掲げ,国産による医療用ステント(※)の開発・製造・販売を行う大学発ベンチャー企業。2003年9月に設立され,岡山大学・岡山県工業技術センターのほか,国立循環器病研究センター・フクダ電子・京都大学を軸とした産学官連携を効果的に活用し,適材適所/ピンポイントで必要な技術を開発・結集して,独自の立場を築き上げている。
(※)人体の管状の部位(血管,気管,食道,十二指腸,大腸など)の狭窄部を内部から広げる医療機器

  ⇒ 
  カテーテル狭窄部に挿入             拡張・留置(カテーテル抜去)

 ステントの国内市場は約1,000億円(世界市場は約1兆円)だが,現在,その大部分は外資系の企業に占めらている。テルモも健闘しているが,製品はシンガポール製で,ステント技術も米国のもの。JSTECは,あくまでも純国産のステントにこだわっており,金属製の「ベアメタルステント」は,既に国内治験を終えている。このステントは,デザインや精密加工・表面塗装の技術に優れ,世界最小のプロファイル(デリバリー性向上)と世界最薄の厚み(再狭窄軽減)を実現しており,国内外で高い評価を得ている。また,表面に再狭窄を防ぐ働きをする薬剤が塗布されている「薬剤溶出ステント」についても臨床試験の段階にあり,次世代ステントとして期待されている「生体吸収性ステント」(生体内で分解・吸収されてなくなるステント)の開発も進めている。

<潟rークル>(代表取締役社長 郷 保正 氏)

 潟rークルは,岡山大学・神戸大学・大阪大学・慶應義塾大学による共同研究の成果である「バイオナノカプセル(BNC)」(※)を実用化し,研究用試薬や次世代医療技術の開発を行うことを目的として,2002年8月に設立された大学発ベンチャー企業。BNC技術を介して世界中の人々の健康に奉仕することを会社理念とし,その製造技術および応用技術の研究開発を進めている。
(※)バイオテクノロジーによって産み出された中空状のナノ粒子で,様々な薬物(遺伝子,タンパク質など)を内包させ,生体内にピンポイントで投与する薬物伝達システム(DDS:Drug Delivery System)のキャリアとして使用することが可能

 

 現在の事業の柱は,「新しいワクチン用抗原」で,国内大手製薬会社と共同でB型肝炎ワクチン用の抗原を開発中である。また,「マルチ抗体検出システム(MAD)」は,一つの検出素子で複数の抗体を同時に検出できる画期的な技術であり,診断薬や研究用試薬に革命を起こす検出法として,国内外から注目を集めている。さらに,BNCに任意のタンパク質を内包させる技術も開発しており,花粉症やガンなどのワクチンへの応用も期待されている。

<潟Aスコルバイオ研究所>(代表取締役 山本 格 氏)

 潟Aスコルバイオ研究所は,岡山大学薬学部の山本教授(現在,岡山大学名誉教授)が,在任中の2004年9月に設立した大学発ベンチャー企業。山本教授は,長年にわたる地道な研究で,酸素をブロックすることによって空気中/水中でも壊れにくい極めて安定的なビタミンC「L-アスコルビン酸2-グルコシド(AA-2G)」を発明。その後,(株)林原生物化学研究所との共同研究により大量生産が実現し,現在,資生堂をはじめ多くの大手化粧品メーカーにおいて美白成分として利用されている。また,安全性も実証され,食品としても認可されており,サプリメント「ProVita C」や健康茶「ROOIBOS C」などの健康食品の製造・販売を自社で行っている。

  

 最近では,AA-2Gは壊れにくいだけでなく,生体内で高い持続性を有する(効果が長続きする)ことがわかってきており,より大量のAA-2Gを効果的に採取できるよう高濃度タイプのプロビタCゲルの開発に取り組んでいるほか,最新のガン治療法(ビタミンC点滴など),さらには生殖医療/再生医療の分野への適用についても研究を進めている。また,油溶性・高浸透性ビタミンCについても特許を取得しており,新たな製品の開発が期待されている。

 (中国経済連合会 桑原)