コラボレーションセンター活動レポート

第11回CVG中国』表彰式を開催しました!

 平成25年1月25日(金),リーガロイヤルホテル広島において,『第11回キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)中国』の表彰式を開催しました。
 CVG中国は,中国地域の大学・高専等の学生を対象に,起業家精神を醸成し,創造性・チャレンジ精神に富んだ人材を育成することを目的として,新事業・新商品のアイデアやビジネスプランを募集・表彰するコンテストです。第11回となる今回は,108件(17校)の応募をいただき,書類審査・最終審査を経て,テクノロジー部門/ビジネス部門の各最優秀賞を含む計16件の受賞プランを決定し,1/10(木)に正式発表したところです。
 実行委員会の構成メンバーであるコラボレーションセンターより,当日の開催概要についてご紹介いたします。

◆主催者挨拶

 主催者を代表して,実行委員長の山下会長(中国経済連合会)から,「多様な知識・価値観・考え方を持った人と積極的に触れ合い,議論を重ねてアイデアをブラッシュアップしていくことこそが,イノベーション創出の第一歩。今後,大学・高専等が相互交流できる場の提供・ネットワーク作りを推進していくとともに,『CVG中国』の一層の充実に努めていきたい。」と挨拶がありました。また,日刊工業新聞社の井水社長からは,「経済再生・デフレ脱却を掲げて新政権がスタートし,具体的な成長戦略の策定とその実行に期待が集まっているが,実際に経済を成長させるのは産業界。特に将来を担う学生の皆さんには,若者らしい斬新な創造力で,産業界にイノベーションを起こし,経済の活性化を牽引して欲しい。」と挨拶がありました。 

◆表彰

 審査委員の紹介に続いて,16件の受賞プラン(「受賞プラン一覧」参照)の提案者に,それぞれ賞状と副賞が授与されました。

 表彰後の受賞者スピーチで,テクノロジー部門最優秀賞の岡田誠流さん(広島市立大学大学院)は,「夢のようです。『CVG中国』への応募を念頭に置いてから,どうやったら使いやすくなるかなど,より具体的に考えるようになり,大変良い経験をさせていただきました。これを武器に今後も研究開発を進めていきます!」と力強く語っておられました。また,ビジネス部門最優秀賞を受賞した中村直樹さん(広島国際大学大学院)からも,「感動してます。『CVG中国』への応募をきっかけに,どうやったら人の役に立てるのか,より深く考えるようになりました。たくさんの人に使ってもらえるように,今後も工夫していきたいです!」とスピーチがありました。 

  
※左から,テクノロジー部門最優秀賞(中央が代表の岡田さん),ビジネス部門最優秀賞(左端が代表の中村さん)

◆審査委員長講評 

 各賞の表彰に続いて,審査委員長の茂里会長(広島県発明協会)から,「全体的に極めて質が高い印象を受けた。高齢者・看護・食事・農業など,わが国の重要な社会的課題をテーマに取り上げた提案が多く,学生の皆さんが日頃からこれらの課題に関心を持ち,その解決に関っていきたいという思いを持っていることを大変頼もしく感じた。一方で,ボランティア要素の強い提案も多く見受けられた。人の善意に基づく事業は確かに素晴らしいことではあるが,事業を堅実に展開するには継続性が重要であり,ビジネスとして成り立つことが求められる。」との講評をいただきました。
 そして,最後に,「受賞者の皆さんは,誇りと責任を持って事業化に努めて欲しい。また,受賞を逃した方々も,この経験を今後の学びに活かしていただくことを期待する。」とエールを送られました。

◆最優秀賞プレゼンテーション

 表彰式の最後には,各部門の最優秀賞に輝いた2件のプランについて,それぞれ提案者によるプレゼンテーションが行われました。

<テクノロジー部門最優秀賞>
「高齢者や運動弱者のための自律移動支援システム自律走行車椅子ロボット『マイウェイ』の開発・提案」
  
(提案者) 広島市立大学大学院 岡田 誠流さん,吉岡 敬介さん,青山 裕紀さん,寺西 亮子さん,高橋 弘さん

 高齢者や身体障害者の方が,医療・福祉施設内を車椅子で移動する際には,介護者によるマンツーマンの支援が必要となる。このような移動支援を自動化することによって,介護者は時間と体力に余裕ができることからサービスの向上に繋がり,一方,要介護者にとっても気軽に移動できるようになることから,心身の健康に繋がることが期待できる。そこで,「自律走行システムの楽々導入」をコンセプトに,高齢者や身体障害者の方に対して,従来よりも自由な施設内移動を提供する車椅子ロボット『マイウェイ』を開発した。

 従来の自律走行車椅子は,現在位置を把握するために,施設内に膨大な数のICチップを埋め込んだり,高価な擬似衛星を設置するなどの環境整備が必要となる。また,車椅子自体が非常に高価であることに加えて,人を乗せて走行するのに十分な安全性・快適性を備えていないため,ほとんど導入が進んでいない。一方,今回開発した『マイウェイ』は,比較的安価なレーザースキャナを実装しており,そのデータを施設内の地図データとマッピング/マッチングさせることで現在位置を測定することができるため,施設を大幅に改修することなく,低コストで導入することが可能である。また,レーザースキャナで周囲の状況や障害物の位置などを検知し,リアルタイムで最適な軌道を計算して走行ルートを予測制御できるため,安全性・快適性の面でも優れている。

 事業化に際しては,既存の電動車椅子に部品として実装する「自律走行キット」を製造・販売することを考えている。今後,自律走行キットの開発技術の確立や施設内での試験運用など,製品化に向けた研究開発を進めていきたい。また,販売開始後も,実際の運用データの解析を進め,改善点の考察・ソフトウェアアップデート等のサービスを展開していきたいと考えている。

<ビジネス部門最優秀賞>
「インターネット上の洋服のバーチャル試着システムの提案」
  
(提案者) 広島国際大学大学院 中村 直樹さん,中川 和明さん,新多 遼平さん

 洋服のネット購入は,利便性が極めて高く,その活用は年々増大しているにもかかわらず,サイジングの問題(購入した洋服の寸法が合わない)が普及を阻害する大きなハードルとなっている。この問題が解決されれば,消費者の利便性がさらに向上することに加え,ネット通販業界の活性化にも繋がる。そこで,洋服と体型それぞれの3次元データを活用することによって,店頭と同じような感覚で,ネット上でもバーチャルに試着を行うことができるシステムを開発した。

 従来の試着システムは,店頭で平面的な着せ替え人形のレベルでコーディネートを確認するものが多く,ネット上でサイズ合わせに利用することはできない。一方,今回開発したシステムは,メーカーが保有する洋服の3次元形状データと,利用者の体型の3次元形状データを活用し,利用者と同じ体型のアバターが洋服を着て動く際の姿を3次元コンピュータグラフィックスで再現することによって,利用者がネット上で視覚的に確認することが可能となる。
 システムでは,相同モデル(産業技術総合研究所・デジタルヒューマン工学研究センター)の考え方を適用して,体型を「洋ナシ形」「リンゴ型」「筋肉型」「非筋肉型」に大別し,それらの度合いを入力・調整することによって,比較的に簡単に利用者の体型を再現できるよう工夫している。また,現段階では,画面上で服を着たアバターが多少歩き回転する程度の動作が可能であり,服のシルエット表現も考慮している。

 現在,パソコン上で動作する簡易なバーチャル試着システムの概略までは完成している。今後は,数千人分の人体データをもとに体型の相同モデルを完成させるとともに,体型サイズの直感的な入力インターフェイスデザインの制作に取り組む予定である。その後,インターネット上に試行用の試着システムを構築し,そのユーザビリティの評価・システムの改良を行った上で,2016年を目処に販売を開始したいと考えている。

◆記念講演会

 表彰式の後は,旬な女性の講師お二人をお招きして記念講演会を開催しました。

 まず最初に,NHK国際放送局キャスターを経て,北京に在住,現在は北京新海有限公司の人材研修トレーナーとして活躍されている米村美樹子さんから,『意外と知らない,心得るべき中国と中国人の基本の「き」』と題してご講演いただきました。
 米村さんからは,「中国は社会構造が極めて複雑で,地域・世代・社会的階層・民族・宗教などによって人々の価値観・観念・行動パターンは大きく異なり,『中国人』と一括りで語ることはできない。中国でビジネスを展開する際には,実際に現地の人と直接触れ合い,自分の立ち位置を知った上で,いろいろな角度で物事を見てから判断して欲しい。」とお話しいただきました。

 続いて,元幼稚園主任教諭の肩書でエネルギー問題をわかり易く,リスク含めた正しい知識を発信されている秋津裕さんから,『消費者の視点でエネルギー問題を考える』と題してご講演いただきました。
 秋津さんからは,幼稚園の信頼回復・組織の建て直しに尽力された経験に基づき,「情報開示」と「リスクマネジメント」を徹底することの重要性についてご教授いただきました。また,現在取り組まれている原子力・放射線教育に関して,「専門家やメディア等の様々な意見・情報に惑わされたり,漠然とした恐怖・不安から全てをやみくもに否定するのではなく,自分自身が納得した上で正しく理解し,判断する必要がある。そのためにも,一般市民の方への教育,特に幼児教育(親子が共に学べる場の提供)が重要となってくる。」とお話しいただきました。

◆受賞祝賀会(2013年中国四国産業人クラブ春の交流会)

 記念講演会の後は,「第11回CVG中国受賞祝賀会&2013年中国四国産業人クラブ春の交流会」が盛大に行われました。祝賀会・交流会には,CVG中国の各賞を受賞した学生の皆さんにも多数ご参加いただき,会場の至る所で活発な情報交換が行われていました。

 この交流が,学生さんと関連企業・支援機関等との出会いのきっかけとなり,ビジネスプランの実現につながることを期待しております。

(中国経済連合会 桑原)